ウォールアートの壁面素材

ウォールアート制作に適した壁面素材と、ウォールアート制作に適さない壁面素材。

屋内外を問わず、ウォールアートには制作に適した壁面と適さない壁面があります。適さない壁面でも必ずしもウォールアート制作ができない訳ではありませんが、ウォールアート制作に適した壁面と比べ高い技術力を要する他、比較的多くの制作期間や塗料が必要になる場合があります。また、使用できる塗料にも制約が生じる場合がありますので、ウォールアート制作時には、壁面の事前確認が必須となります。

ウォールアート制作に適した壁面
ウォールアート制作に適した壁面は、大まかに言うと凹凸がなく、少しざらつきのある壁面です。ウォールアート制作は、屋外では主にペンキを用い、屋内で主にはアクリル絵具を用いますが、ガラスやアクリル板のように凹凸がなくツルツルしすぎていると、塗料が壁面に吸着せず垂れてしまうことが懸念されます。また、壁面と塗料の吸着が弱いことから、擦れや浸水など、外部からの刺激が加わることで塗料の剥がれも懸念されます。このことから、ウォールアート制作には主に以下のような素材が適していると言えます。
・コンクリート(外壁/内壁)

セメント、水、砂、砂利を混ぜ合わせて作られるのがコンクリートですが、コンクリートは凹凸が少ない、強度が強く、表面に適度なざらつきがあるなど、ウォールアート制作に最も適した壁面素材のひとつあると言えます。ただし、コンクリートに多くの表面気泡があると、塗料が中に入ってしまうなが生じるため、表面気泡のない(または少ない)壁面であることが大切です。

・モルタル(外壁)

コンクリートと同じく、モルタルもセメントから作られる建築素材ですが、粗骨材となる砂利が含まれていないのが特徴です。コンクリートと比べ柔軟性が高いため、建物の外壁、レンガ、ブロックの接着剤としても使用されます。モルタルは強度が高く凹凸が少ないため、ウォールアート制作に最も適した壁面素材のひとつあると言えます。

・コンクリートブロック(外壁/内壁)

コンクリートブロックの素材はコンクリートと同様のため、強度が高く表面に適度なざらつきがあり、ウォールアート制作に適した壁面素材であると言えます。一方、一般的なコンクリートブロックは表面気泡が多く、ブロック同士のつなぎ目に多くの目地が生じることから、細かく繊細な絵柄には不向きだと言えます。またフラットな壁面と比較した場合、塗料が少し多めに必要となります。

・スチール(外壁/内壁)

スチール(鉄)は、屋外では隣地との仕切り壁/手摺り/柵など、屋内ではオフィスのパーテーションに多く使用されていますが、スチールを剥き出しで使用するとサビや腐食を引き起こすため、必ず塗装がなされており、ウォールアート制作ではこの塗装されたスチールの上から作品の制作を行います。スチール壁面は板面がフラットで塗料の伸びがとても良く乾きも早いことから、ウォールアート制作に最も適した壁面素材のひとつだと言えます。

・ステンレス(外壁)

ステンレスは、金属系サイディングとして外壁にも広く活用されています。ステンレスは板面がフラットで強度にも優れ、サビも生じないとても優れた素材です。ヘアライン仕上げと鏡面仕上げがあり、ヘアライン仕上げであれば適度なざらつきがあるため塗料の吸着もよく、ウォールアート制作に適した壁面素材であると言えます。その一方、ステンレスは価格が高いのがネックであると言えます。

・アルミ(外壁)

アルミは、アルミサイディングとして外壁にも広く活用されている他、複合板として看板の下地素材にも多く使用されています。板面がフラットなため塗料の伸びも良く、吸着性にも優れるため、ウォールアート制作に適した壁面素材だと言えます。スチール(鉄)と比べ、サビが出ない、腐食しない、軽い、そして安いなど、優位性の高い素材です。

・クロス(内壁)

一般的な住宅の居室空間で最も多く使用されているのが壁紙(クロス)です。素材により、ビニールクロス、紙クロス、繊維クロスなどに分類されており、色・柄ともに商品が豊富です。クロスは表面に凹凸があり、塗料の吸着も良いためウォールアートに適した素材だと言えます。ただし、ビニールクロスの場合で表面がツルッとした凹凸のない絵柄の場合、適しているとは言えません。

・石膏ボード(内壁)

住宅、ビル、学校などの内壁や天井に最も多く使用されている建築資材で、ペイント塗装、クロス張り仕上げの下地材として広く使用されています。石膏を芯材に、両面及び側面がボード用原紙で包まれており、そのまま上から塗料を塗布することもできます。表面にざらつきがあり、板面がフラットであるためウォールアート制作のしやすい壁面素材であると言えます。一方、石膏ボードには一定の規格サイズがあり、サイズの大きな外壁の場合には壁面につなぎ部分が必ず生じてくるため、パテ埋めする必要があります。

ウォールアート制作に適さない壁面
ウォールアート制作に適さない壁面は、大まかに言うと凹凸が激しく、ざらつきのないツルツルした壁面です。ガラスやアクリル板などが分かりやすい例として挙げられます。ウォールアート制作に適さない代表的な壁面素材は次の通りです。
・窯業系サイディング(外壁)

サイディングは、建物外壁に張る仕上げ板材です。サイティングは大きく「窯業系サイディング」、「金属系サイディング」、「木質系サイディング」、「樹脂系サイディング」の4種類がありますが、近年、住宅の外壁として最も多く使用されているのが「窯業系サイディング」です。窯業系サイディングはデザインがとても豊富で、レンガ調、タイル調、石積み調などがあり、耐久性にも優れる素材です。窯業系サイディングはデザイン上の凹凸が多くあるため、ウォールアート制作には高度な技術とゆとりある期間が必要となります。

・レンガ(外壁/内壁)

レンガは外壁・内壁など様々な場所で使用される意匠性にも優れた建築材で、表面に適度なざらつきがあることから、塗料の吸着が良い壁面素材であると言えます。一方、レンガ貼りの壁面は目地の凹凸が多く生じるため、目地の浅いレンガ壁であればウォールアート制作は比較的容易ですが、目地が深い場合はウォールアート制作のしにくい壁面であると言えます。

・タイル(外壁/内壁)

タイルは、粘土などの主原料を高温で焼いた、陶磁器製の建築資材です。タイルは綿密な素地で固く吸水性が低いため、外装や水回りの壁、床などに用いられています。タイルは種類も豊富で、表面にざらつきがあるもの、凹凸があるもの、フラットでツルツルしたものなどがあり、ウォールアート制作に適切・不適切な壁面素材かをひとまとめにすることはできませんが、陶磁器製であることから外部からの衝撃で割れる可能性があり、その点だけを見るとウォールアートに最適な外壁素材だとは言い難いと言えます。

・木材(外壁/内壁)

天然木、合板、成形合板など、外壁・内壁ともにあらゆる場所で木材が壁面素材として使用されていますが、木材は時間とともに伸縮するといった特徴を持っています。その木材の上から塗料を塗布すると、木材の通気性が悪くなり伸縮が激しくなる可能性があるため、ウォールアートには適していない壁面素材であると言えます。長期間維持するものではなく、一過性のイベントなどで木材をキャンバスとして使用する限りでは大きな問題はありません。

・漆喰(内壁)

伝統的な左官塗工法により、漆喰で仕上げた壁面が漆喰壁です。クロスと異なり仕上げに継ぎ目がなく、刷毛、コテ、ローラーなどで表情豊かな壁面になる特徴があります。漆喰は消石灰に砂と糊などを混ぜて作ることから外部からの刺激に弱く、モノをぶつけたり引っ掻いたりするだけで削れてしまう脆さがあるため、ウォールアート制作には向かない壁面素材であると言えます。

・土壁(内壁)

数寄屋造りの和室や茶室などで主に用いられている土壁は、その名の通り土でできた壁面となるため外部からの刺激に弱く、塗料をキレイにのせることが難しいことから、ウォールアートには最も向かない壁面素材であると言えます。
